「なぜかくも日本人は小粒になったのか?」最大の理由。【福田和也】
福田和也「乱世を生きる眼」
■経済、政治のエリートが、軍歴を経ている国
というのも、日本以外の、世界中の多くの国民が、自らがいつかは、戦場に挑むかもしれないという覚悟のもとに生きているからです。
そのような覚悟を抱いている諸国民に比して、わが同胞は、いささか小さく、稚(おさ)なく、無邪気で甘えたところがある。
韓国やシンガポール、イスラエルといった新興国では、経済、政治のエリートは、軍歴を経ていることがごく普通なことです。
アメリカだって、海兵隊出身や陸軍出身のエリート・ビジネスマンは山ほどいるし、ビル・クリントンの登場まで、軍歴がまったくない大統領はいませんでした。
軍にいたからといって、優秀な人材であると限らないのは、ごく当たり前ですが、一朝、事あった時には、国家国民のために最前線に赴くという覚悟のもと、厳しい訓練の日々を数年間体験した人間は、良くも悪くもある覚悟を帯びているのではないか。
戦後の日本は、自衛隊員と警察官、消防官などの一部をのぞいて、そういう覚悟から、解放されてしまいました。
もちろん。それはめでたいといえばめでたいのです。
※「なぜかくも日本人は小粒になったのか」続く
(『福田和也コレクション1:本を読む、乱世を生きる』より本文一部抜粋)
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◎中瀬ゆかり氏(新潮社出版部部長)
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