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「なぜかくも日本人は小粒になったのか?」最大の理由。【福田和也】

福田和也「乱世を生きる眼」

 

2018年のシリア内戦

 

■経済、政治のエリートが、軍歴を経ている国

 

 というのも、日本以外の、世界中の多くの国民が、自らがいつかは、戦場に挑むかもしれないという覚悟のもとに生きているからです。

 そのような覚悟を抱いている諸国民に比して、わが同胞は、いささか小さく、稚(おさ)なく、無邪気で甘えたところがある。

 韓国やシンガポール、イスラエルといった新興国では、経済、政治のエリートは、軍歴を経ていることがごく普通なことです。

 アメリカだって、海兵隊出身や陸軍出身のエリート・ビジネスマンは山ほどいるし、ビル・クリントンの登場まで、軍歴がまったくない大統領はいませんでした。

 軍にいたからといって、優秀な人材であると限らないのは、ごく当たり前ですが、一朝、事あった時には、国家国民のために最前線に赴くという覚悟のもと、厳しい訓練の日々を数年間体験した人間は、良くも悪くもある覚悟を帯びているのではないか。

 戦後の日本は、自衛隊員と警察官、消防官などの一部をのぞいて、そういう覚悟から、解放されてしまいました。

 もちろん。それはめでたいといえばめでたいのです。

 

※「なぜかくも日本人は小粒になったのか」続く

 

『福田和也コレクション1:本を読む、乱世を生きる』より本文一部抜粋)

 

 

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福田 和也

ふくだ かずや

1960年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部仏文科卒業。同大学院修士課程修了。慶應義塾大学環境情報学部教授。93年『日本の家郷』で三島由紀夫賞、96年『甘美な人生』で平林たい子賞、2002『地ひらく 石原莞爾と昭和の夢』で山本七平賞、06年『悪女の美食術』で講談社エッセイ賞を受賞。著書に『昭和天皇』(全七部)、『悪と徳と 岸信介と未完の日本』『大宰相 原敬』『闘う書評』『罰あたりパラダイス』『人でなし稼業』『現代人は救われ得るか』『人間の器量』『死ぬことを学ぶ』『総理の値打ち』『総理の女』等がある。

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